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最近 Clair Obscur: Expedition 33 というゲームをクリアしました。 The Game Awards 2025 で史上最多 12 部門に選出されるなど話題沸騰中でわざわざ紹介するまでもないのですが、一つ書きたい内容が出来たので記事を書くことにしました。 それは、このゲームの戦闘が「アクションゲームの戦闘の面白さを分解し再構築した1もの」として解釈できるのではないか、ということです。 コマンド RPG が退屈で苦手という人でも、アクション(というかパリィ)が好きなら Expedition 33 を楽しめる可能性は十分にあります。 本記事ではこの主張について順を追って説明していきます。
一応「自分は別にアクションゲーマーではない」という方に向けて先に他の魅力を書いておくと、ストーリーやグラフィック、音楽に演出などどれも非常に素晴らしいです。 キャラクターの表情も細かく表現されています。「泣くのを必死でこらえながら話しているが、突然ブワッと涙が溢れ出しそうになる」様子が声だけでなく表情からも読み取れるほどです。 ちなみに、戦闘においてはパリィが非常に重要な立ち位置を占めており、習得せずにクリアするのはおそらく難しいので、パリィが苦手な方はあまり楽しめないかもしれません。
Expedition 33 の話に入る前に、一般論としてのアクションゲームの戦闘の話をします。
アクションゲームの戦闘はしばしば「ターン制」になる
全てではありませんが、アクションゲームにおける戦闘はしばしばターン制のような性質をもちます。
どういうことでしょうか。
アクションゲームの戦闘は「敵の攻撃を防御や回避などで捌き切る→何回か攻撃を当てる→また敵の攻撃を捌きながら次のチャンスを待つ→……」という流れの繰り返しになる場合があります。 これは例えば、平時には攻撃を当てた際のリターンに対して反撃を受けるリスクが非常に大きい場合にありがちだと思います。 具体的には以下のような感じです。
- 敵が攻撃を当てても怯まないか、あるいはダメージがほとんど入らない
- 敵からの攻撃を受けた際のダメージが大きいか、大きく仰け反ったり吹っ飛んだりして体勢の立て直しが困難になる
- こちらの攻撃の隙が大きく無闇矢鱈に攻撃できない
- 敵が体勢を崩す、弱点を露出する、隙の大きい攻撃をするなど、こちらの攻撃のチャンスが設定されている
モンスターハンターなどが典型で、実際に「ターン制」として解説されていることもあります。 大型モンスターは攻撃を当ててもそう易易とは怯まず、逆にハンターは大型モンスターの攻撃で簡単に吹っ飛んでしまいます。 武器種にもよりますが、ハンターの攻撃は隙が大きい傾向にあるので、モンスターの行動の合間の反撃が来ないタイミングを上手く狙って攻撃をしていくのが基本になります。
他のゲームの具体例を挙げてみましょう。
- マリオシリーズのボスは3回踏むと倒せるのが通例だが、いつでも敵を踏めるわけではなく、体勢を崩したり弱点を露出させたりしないと踏めないボスが多い[要出典]。
- ゼルダの伝説には時のオカリナのリザルフォスや、ブレスオブザワイルドの雷のカースガノンなど、防御や回避を駆使しないと反撃のチャンスが訪れない敵もいる。
- スプラトゥーンのボスは弱点(典型的にはタコ足)に攻撃を当てられるタイミングが明確に決まっており、攻撃を当てるチャンスを様々な手段を駆使して作る必要がある。
- ソウルライク系のゲームでは敵の攻撃を2-3発も受ければ死んでしまうが、自キャラの動きが鈍重なので攻撃のタイミングを慎重に見極める必要がある。
- ファンタジーライフやドラゴンクエストビルダーズなど、シンプルなアクションではヒットアンドアウェイが戦闘の基本になりがち。
- CrossCode では後半に行くにつれ戦闘の合間に挟まるパズルを時間内にクリアしないと弱点が露出せずダメージを与えられない敵が増えていく(←ムズすぎ苦しすぎ)。
アクションゲームにおける「ターン制」のイメージはなんとなく湧いたでしょうか。 ここでは「ターン制」をかなり広めに捉えていますが、要するに攻撃のチャンスの間に敵の攻撃が挟まってくるということです。
もちろんそうではないアクションゲームもたくさんあります。 例えばロックマンやメトロイドは敵の攻撃を避けながら同時に攻撃を当て続けることができるのであまりターンが分かれている印象にはならないかもしれません。 カービィシリーズはすっぴん状態では星型弾を当てられるタイミングが限られますが、コピー能力を持っていればコンスタントに攻撃を当て続けられる場合が多いです。 ファイナルファンタジークリスタルクロニクルでは誰かにケアルを唱え続けてもらいながらひたすら殴るのが楽です。 全体的に自キャラの隙が小さく攻撃の合間に回避や防御を挟み込みやすいような場合も「ターン制」になりにくいでしょう。 Core Keeper や Dead Cells では敵の攻撃を的確にパリィで防ぎさえすればあとは張り付いて殴り続ければだいたい勝てます[独自研究?]。
アクションゲームの「ターン制」戦闘のストレス
さて、アクションゲームの「ターン制」の戦闘は本当にターン制なわけではなく、あくまでもリアルタイムに進行します。 これによっていくつかのストレスが生じえます。
- 敵が複数体いると自分の「ターン」を他の敵に妨害され「ターン制」が成立しなくなる。
- 敵の攻撃に吹っ飛ばされすぎたり敵の移動距離が長過ぎたりなどして敵と離れた位置にいると、攻撃が届く位置まで移動できないまま自分の「ターン」が終わる。
- (特に 3D ゲームにおいて)敵との距離感を上手く掴めず攻撃が空振ったり接触ダメージを受けたりして自分の「ターン」を無駄にしてしまう。
プレイヤースキルの問題とも言えるのでこれらが必ずしも悪いというわけではありませんが、実際のところこういった事象に悩まされたことがある人も少なくないのではないでしょうか。 これらのストレスを感じずにアクションゲームの戦闘の楽しさを味わう方法はないのでしょうか? その方法の一つは、本当にターン制にしてしまうことでしょう。 それが『Clair Obscur: Expedition 33』というゲームの戦闘システムです。
Clair Obscur: Expedition 33 の戦闘システム
しかし、ターン制の戦闘で本当にアクションゲームの楽しさを味わえるのでしょうか? Expedition 33 で味わえるアクションゲームの楽しさは、ズバリ「敵の苛烈な攻撃をパリィで捌き切る快感」です。
Expedition 33 はターン制のコマンドバトルを採用した RPG です。 その戦闘システムの大きな特徴は、タイミング良くボタン入力を行うことで敵の攻撃を回避したりパリィしたりできるところです2。 これ自体は、言ってしまえばマリオ RPG 系列のゲームや最近では Sea of Stars などと同じようなものです。 Expedition 33 がこれらのゲームと比べて違うのは、敵の攻撃がソウルライクみたいにディレイフェイントマシマシダメージカラメで苛烈なところです。 これによって敵の攻撃をパリィする快感を強く得られるようになっています。 また、敵の攻撃をパリィし切るとカウンター攻撃が発動します。 このモーションが非常にカッコ良く火力も高いので、パリィの喜びはより一層大きなものになります。
さて、ターン制にしたことで、前述したストレスを次のように解消した上でパリィの快感を味わえるようになっています。
- 敵が複数体いても自分のターンの存在が保証される3。
- 敵は矢鱈に移動したり大きく吹っ飛ばしてきたりしないので攻撃のチャンスは必ずある。
- 距離という概念はないので攻撃コマンドを実行すればしっかりダメージを与えられる。
もちろん、戦闘をターン制のコマンドバトルにすることで、アクションゲームの特性の多くは捨象されてしまっています。 そのため、敵との距離や位置取りの調節、大ダメージ狙いのコンボ、回避などを駆使した絶え間ない攻撃……などといった楽しみ方は出来なくなっています。 あくまでもパリィの快感に専念するための要素の再構築であって、アクションの全ての要素を保持しているわけではないということです。
しかし、
- パリィが好きで好きでたまらない
- Nine Sols や NanoApostle,The First Berserker: Khazan が大好きだ
- Core Keeper や Dead Cells,Valheim では狙わなくて良いパリィをわざわざ狙いに行った
- Pizza Tower や Freedom Planet 2 ですらパリィせずにはいられない
という人なら、 Expedition 33 のパリィも気に入ってもらえるでしょう。
最後に、序盤に登場する寄り道イベントのボスとの戦闘シーンを一部抜粋してみたので、ボス戦のネタバレが気にならない方は参考にどうぞ。
まとめ
というわけで、パリィの楽しさをギュッと詰めた結果ターン制コマンド RPG になったかもしれない『Clair Obscur: Expedition 33』でした。 パリィ好きのアクションゲーマーならきっと楽しめると思いますので是非遊んでみてください。 非常に面白かったです。
